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Next.js 15のRoute Handlerデフォルト変更と、バンドルサイズを継続的に守るテスト設計

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パフォーマンス監査を実施したところ、5つの問題のうち4つはすでに以前の改善作業で解決済みでした。残る1つが「RSSフィードが毎リクエストごとにサーバーで生成されていた」という問題で、修正後はバンドル回帰テストも整備しました。この記事では、修正の過程で判明したNext.js 15の仕様変更と、今後のバンドル肥大化を継続的に検知するテストの設計を解説します。

この記事でわかること:

  1. Next.js 15以降のRoute Handlerで起きたデフォルトキャッシュ動作の変更と、RSSフィードなどを静的生成に変える方法
  2. Turbopack環境で@next/bundle-analyzerが使えないときに、ビルド成果物を直接解析してバンドル回帰テストを実装する方法
  3. パフォーマンス監査の実践的な進め方(全体像把握 → 既解決の除外 → 残存問題の修正 → 回帰テスト整備)

パフォーマンス監査の全体像と「すでに解決済み」の発見

今回の監査の出発点は、5つの問題が積み上がったissueリストでした。

  1. ツールページで他ツールのコードが巻き込まれている
  2. チートシートページでも同様の巻き込みが発生している
  3. ゲームページがJSONデータを直接バンドルに含めている
  4. RSSフィードが動的実行になっている
  5. 300KB超の巨大チャンクが複数存在する

調査を進めると、問題1と2は直前の改善作業(next/dynamicの落とし穴と個別ページ分割で詳しく解説)ですでに解決済みでした。動的ルートを廃止して各ツールとチートシートを独立ページに分割した結果、不要なコードの巻き込みが根本から解消されていたのです。

問題5の300KB超チャンクも調査すると2つのみ残存しており、いずれもMermaid.jsとその依存ライブラリです。これらはブログ記事内のMermaid図が存在するときにのみ遅延読み込みされるため、初期ロードへの影響はありません。Mermaid図を含む記事は52記事中8記事で、それ以外の44記事ではこれらのチャンクは一切ロードされません。

問題3のゲームページは、ゲームデータをJSONファイルから直接バンドルに含めていることで各ゲームページが57〜73KBのチャンクを持ちます。ゲームとして必要な範囲のサイズであり、今回は対応を見送りました。

結果として、実際に修正が必要だったのは問題4(RSSフィードの動的実行)のみでした。「すでに解決済みかどうかの確認」は一見無駄な作業に見えますが、この確認によって現状の正確な把握ができ、残存する本当の問題に集中できました。監査の最初のステップとして「何が既に解決されているか」を確認することは、作業の優先度決定においても有益です。

Next.js 15のRoute Handler仕様変更とフィード静的化

Next.js 15以降のデフォルト動作変更

Next.js 15 RC以降、Route HandlerのGETハンドラにおけるデフォルトのキャッシュ動作が変更されました。

公式ドキュメントのroute.js Version Historyには以下の記述があります。

v15.0.0-RC: The default caching for GET handlers was changed from static to dynamic

Next.js 14以前では、GETハンドラはデフォルトで静的にキャッシュされていました。Next.js 15 RC以降は、明示的にexport const dynamic = "force-static"を宣言しない限り、GETハンドラはデフォルトで動的実行になります。

この変更はNext.jsの「明示性優先」という方針転換の一環で、動的なAPIを使っているかどうかに関わらず、明示的な宣言がない限り動的として扱うという考え方です。ビルド出力を見ると、各ルートが(静的プリレンダリング)かλ(動的レンダリング)のどちらになっているかを確認できます。

動的実行になっていた原因の詳細

私たちのRSSフィードルートが動的実行になっていた原因は主に2点です。

原因1: export const dynamicの宣言がない(全ルート共通)

4つのフィードルート(/feed/feed/atom/memos/feed/memos/feed/atom)と/ads.txtのいずれにもexport const dynamicの宣言がなく、Next.js 15以降のデフォルト(動的)が適用されていました。

原因2: Date.now()による動的フィルタリング(メモフィードのみ)

メモRSSフィードは「過去7日間のメモのみを含める」という仕様で、フィルタリングにDate.now()を使用していました。Date.now()はリクエスト時の現在時刻を返す非決定的な操作のため、静的生成と根本的に相性が悪い設計でした。

ここで見落としやすいのが「Cache-Controlヘッダーを設定してあるから静的キャッシュが効いているはず」という誤解です。実際には、Cache-Control: public, max-age=3600のようなHTTPヘッダーはCDNやブラウザのHTTPレベルのキャッシュに作用するものであり、Next.jsの「ビルド時に静的ファイルを生成する」というFull Route Cacheとは全く別の仕組みです。HTTPキャッシュヘッダーを設定していても、サーバーでの動的実行自体は毎リクエストごとに発生します。

静的化の実装方法

シンプルなルートの静的化

ブログRSSフィード(/feed/feed/atom)とads.txtは、動的な要素を持たないため1行追加するだけで静的化できます。

// src/app/feed/route.ts
import { NextResponse } from "next/server";
import { buildFeed } from "@/lib/feed";

export const dynamic = "force-static"; // この1行を追加

export async function GET() {
  const feed = buildFeed();
  return new NextResponse(feed.rss2(), {
    headers: {
      "Content-Type": "application/rss+xml; charset=utf-8",
      "Cache-Control": "public, max-age=3600, s-maxage=3600",
    },
  });
}

同様に/feed/atom/ads.txtにも同じ1行を追加しました。

動的ロジックを持つルートの対処

メモRSSフィード(/memos/feed/memos/feed/atom)はDate.now()によるフィルタリングが障壁でした。「過去7日間のメモ」という条件はビルド時に固定されるため、デプロイ後に新しいメモが追加されても反映されなくなります。

検討した選択肢は3つです。

オプション 概要 問題点
A: force-static + フィルタリング方式変更 「最新N件」方式に変更 「過去7日間」仕様が変わる
B: ISR(revalidate設定) 定期再生成 self-hosted環境での動作が不確実(推測)
C: 動的のまま維持 現状維持 フィード静的化の目的が達成できない

オプションBのISRは、Vercelなどの対応プラットフォームでは機能しますが、self-hosted環境では正しく動作しない可能性があります(これは推測であり、環境によって異なります)。シンプルさと確実性を重視して、オプションAを採用しました。

実装ではDate.now()を使った「過去7日間」フィルタリングを廃止し、全メモから最新100件を取得する方式に変更しました。RSSフィードの一般的な慣行でも「最新N件」方式が主流であり、RSSリーダーは差分更新を行うため、この変更による実用上の問題はありません。

静的化後は、ビルドログで対象ルートがになっていること、および.next/prerender-manifest.jsonにルートが含まれることで静的生成を確認できます。

バンドル回帰テスト: @next/bundle-analyzerなしでビルド成果物を直接解析する

なぜバンドル回帰テストが必要か

パフォーマンス改善は「一度やって終わり」ではありません。新機能の追加やライブラリの更新によって、知らぬ間にバンドルサイズが少しずつ増えていく「バンドル肥大化の忍び足」は、継続的な監視なしには防ぎにくい問題です。

今回の改善作業(B-159)で大幅に削減したバンドルサイズを将来にわたって守るために、自動テストで回帰を検知する仕組みが必要でした。

Turbopack環境での制約とビルド成果物直接解析

このプロジェクトはNext.js 16.1.6(Turbopack)を使用しています。Turbopackを使うプロジェクト特有の制約として、@next/bundle-analyzerが使えません。@next/bundle-analyzerはwebpackのバンドル分析専用ツールであり、Turbopackには対応していません。webpackを使うプロジェクトでは@next/bundle-analyzerが使えるため、その場合はこのセクションで説明する方式は不要です。

Turbopack環境での代替として、ビルド成果物(.next/ディレクトリ)を直接解析する方式を採用しました。参照できるデータソースは以下の通りです。

データソース 用途
.next/build-manifest.json ベースラインJS(全ページ共通のReact+Next.jsコア)
.next/server/app/**/page_client-reference-manifest.js ルート別のページ固有JS(entryJSFiles
.next/static/chunks/*.js 大きなチャンクのサイズ計測

ページ固有JSの計算方法が重要です。page_client-reference-manifest.js内のentryJSFilesにはそのページで読み込む全JSファイルが列挙されていますが、ベースラインJS(React+Next.jsコア)とレイアウトJSを除いた残りが「そのページ専用のチャンク」です。この値が、ページの機能追加によるバンドル増加を最も正確に反映します。

予算設計とカテゴリ別管理

個別ルートごとに予算を管理すると、ルートが増えるほど保守コストが高くなります。そこでルートカテゴリ単位で管理する設計を採用しました。

src/__tests__/bundle-budget.test.tsに以下の定数を定義しています(テストコードから引用)。

const BUDGETS = {
  /** ベースラインJS(全ページ共通)の上限 */
  baseline: 560 * 1024, // 560 KB

  /** 300KB超チャンクの上限数 */
  maxLargeChunks: 3,

  /** カテゴリ別のページ固有JS上限 */
  categories: {
    "/tools": 60 * 1024, // 60 KB
    "/cheatsheets": 15 * 1024, // 15 KB
    "/games": 90 * 1024, // 90 KB
    "/dictionary": 50 * 1024, // 50 KB
    "/blog": 20 * 1024, // 20 KB
    "/quiz": 20 * 1024, // 20 KB
    "/memos": 15 * 1024, // 15 KB
  },
} as const;

各予算値は現在の実測値にマージンを加えた設計です。たとえばベースラインJSは実測511KBに対して560KB(+10%マージン)を設定しました。これにより、Next.jsのマイナーアップデートで多少増えることは許容しつつ、大幅な増加はすぐ検知できます。

カテゴリ別の予算値は、entryJSFilesベースのページ固有JSチャンクのみを対象とした計測値(ベースラインJSとレイアウトJSを除く)をもとに設定しています。next experimental-analyzeで表示される転送量(ベースライン+レイアウト+ページ固有を合算した値)とは異なる点に注意してください。

300KB超チャンクは現在2個(Mermaid関連)で、上限を3個に設定しました。これにより現状の2個は許容しつつ、新たな大きなチャンクが1個増えた時点で検知できます。

テストが失敗したときの診断しやすさ

バンドル回帰テストの価値は「失敗したときにどこが原因かすぐわかること」にあります。テスト失敗時のメッセージを以下のように設計しました。

カテゴリ予算超過時のメッセージ例:

Category /tools budget exceeded: /tools/markdown-preview has 65.0KB page-specific JS (budget: 60.0KB)
All routes in /tools:
  /tools/markdown-preview: 65.0KB  <-- OVER BUDGET
  /tools/yaml-formatter: 44.0KB
  /tools/traditional-color-palette: 43.0KB
  ...

どのルートが原因か、どれだけ予算を超過しているか、同カテゴリの他のルートはどうかが一覧で確認できます。

テストの前提条件として、.next/build-manifest.jsonが存在しない場合はテストスイート全体をスキップします(describe.skipIfを使用)。npm run buildなしでは実行する意味がないためです。

const buildExists = fs.existsSync(BUILD_MANIFEST_PATH);

describe.skipIf(!buildExists)("Bundle budget", () => {
  // ... テスト実装
});

CIでバンドル回帰テストを実施するには、npm run build && npm run testという順序で実行するだけです。ビルドが済んでいれば自動的にテストが走り、未ビルドなら自動的にスキップされるため、既存の開発フローを壊しません。

採用しなかった選択肢

今回の作業で検討したが採用しなかった選択肢を記録します。

  • ゲームJSONの最適化: 各ゲームページが57〜73KBのバンドルを持つのは、JSONデータを直接バンドルに含めているためです。ゲームとしての実用上の問題がないサイズであり、今回の対応スコープ外としました
  • ISRによるメモフィード配信: revalidate = 3600で定期的に再生成するISR方式は実装の変更が少なくて済みますが、self-hosted環境でISRの動作が完全に保証されるか不明確なため(推測)、確実性の高いforce-static + 「最新N件」方式を選択しました
  • @next/bundle-analyzerの導入: webpackプロジェクトでは有効なツールですが、このプロジェクトはTurbopackを使用しており対応していないため、ビルド成果物の直接解析という代替手段を選択しました

まとめ

この記事では3つのことを解説しました。

1. Next.js 15のRoute Handler仕様変更

Next.js 15 RC以降、GETハンドラのデフォルトキャッシュが静的から動的に変わりました。export const dynamic = "force-static"を明示しない限り、RSSフィードのような静的であるべきルートも毎リクエストごとにサーバーで生成されます。Cache-ControlヘッダーとNext.jsの静的生成は別の仕組みであり、HTTPキャッシュヘッダーを設定しているだけでは不十分です。

Next.js 15以降でRoute Handlerを書くときは、意図する動作(静的または動的)をexport const dynamicで明示することを習慣づけることを推奨します。

2. バンドル回帰テストの設計パターン

@next/bundle-analyzerが使えないTurbopack環境では、ビルド成果物を直接解析する方式でバンドル回帰テストを実装できます。ポイントは2つです。

  • ルートカテゴリ単位の予算管理で保守コストを抑える
  • 失敗時のメッセージを具体的にして、どのルートがどれだけ超過しているかを即座に特定できるようにする

3. パフォーマンス監査の進め方

今回の監査は「全体像把握 → 既解決の除外 → 残存問題の修正 → 回帰テスト整備」という流れで進めました。問題リストがあっても、最初に「すでに解決済みかどうか」を確認することで、実際に対処が必要な問題に集中できます。そして修正後は回帰テストを整備して、改善した状態を継続的に守る仕組みを作ることが重要です。

関連メモ